森林浴しながら山道を歩くと、びっくりした鹿が慌てて逃げていくのに遭遇することがある。冬の夜にドライブすると、鹿の家族が平然と休耕田にたむろしている場面に会う。おきらく山荘の敷地内でも、奈良公園のごとく、ポロポロの丸い鹿の糞を見つけることもある。
ある年末には皆さんにお届けしている南天の並木がハゲッパになっていて、お正月の生け花に事欠いたことがあった。切り口が汚く、散らかっていた。誰の仕業だろう?と思った。
今年の春、バラの花を植えたところ、数日したら花がなくなってしまった。虫?それとも誰かに食べられてしまった?棘があるのに。物珍しく、足を止めやすいところだったから、食したのかな?その後、夏に向けて新芽も伸び、四季咲きのため蕾も沢山付いてきたので、夏のお客様が楽しんでくださると喜んでいたところ。それも無残に摘まれて跡形もなくなってしまっていた。
ギボウシ(別名ホスタ、ウルイ)の葉も茎の根本まで短く刈られて見る影もない状態。梅雨の時期のこの葉は、若芽や若葉が高級食材として使われ、お浸しや和え物、天ぷらとして食されるので、きっと美味しかったのでしょう。日陰の奥の方にあったのに目ざとく食べ尽くされていた。
どうやらどれも「鹿」さんの仕業らしい^^;
とうとう薔薇やベリー類の木々の周りに網を張り巡らすことに。見栄えは悪いがしっかり育つまでは仕方ない。
この鹿さん。時々糞のお土産だけでなく、春先には角の置き土産をしてくれる。結構立派な角がゴロンゴロンと。春に生え変わる為にポロっと剥がれ落ちるのか、雌を愛っての戦いの末にボキッと根元から落とされたのか、想像は膨らむが、50センチぐらいの立派な角である。
この古い角はうちでは観賞用にしかならないですが、ナイフの柄やボタンに加工されることもありますね。また、若い生えごろのまだ角化していない鹿の角は鹿茸(ロクジョウ)と言って、乾燥粉末や黒焼末は様々な効能を持つとして民間療法で用いられています。
漢方文化圏の中国を始め香港やシンガポールの薬局では、高い精を補充する薬剤の中で、鹿茸の右に出るものはないと言われ、今でもその看板に「参茸」の二文字を掲げ、薬局のシンボルとしています。因みに「参茸」の「参」は人参の参であり、「茸」は鹿茸のそれです。
精が出る=生命力が溢れる=強壮作用や強心作用があるので、動悸(どうき)や息切れを改善するとともに気力を高めると言われており、皆様よくご存じの生薬製剤「救心」の主たる含有成分です。
角だけでなく、山野を駆け巡り大空を舞った天然の肉は、脂肪が少なく引き締まり、低脂肪高たんぱく質で栄養価も高い、まさに森からの贈り物。力強く生命力に溢れたジビエ料理もありますね。
鹿を害獣とみるか益獣とみるか、視点の違いでしょうが、さてあなたはどっちとお考えになります?!?
PS.萩尾地区にお住いの方からアドバイスがありました。森の中は鹿用の罠が仕掛けてあることがあるので、足元注意して歩いてね。はまったらガチっと離れないし、大けがするし、危ないよ。とのことでした。道なき道や獣道は冒険しないように気を付けましょう。ケガする前のアドバイス。有難く頂戴いたしました。