~~~HIGHBODIAの風景 その3~~~
カンボジアの南端タイランド湾に面したケップ州に、いろんな構想が含まれた施設「HIGHBODIA」があり、2022年年末に約7年ぶりに訪れてきた。
施設の前の道は国道に指定され、でこぼこだった道は整地され広がり、今は舗装を待つばかりだった。以前地方の国道はほとんど未舗装で中央線もなく、追い越しの際は逆走も多い為、交通事故発生数は日本の6倍以上と言われていた。その後国の発展も進み、道路整備もあちこち拡張され、高速道路も今年初めて新設されていた。(高速道路に入った記念に車を止めて写真撮影する人も多いのだとか、、、)。
カンボジアの半年は雨期で、整地されても舗装される前だと雨水で再びでこぼこに戻り、乾季には車が通る度に砂ぼこりが舞う。前にトラックでも走られると、土煙が巻き上がり前が見えなくなる程だ。私が再訪した12月中旬は丁度雨季が終わって乾季に入った時期でもあり、せっかく整地されていた道路が復旧を待つ状態で、時々スピードを落としながら安全に運転してもらった。施設の前が国道になると車の通りは多くなるかもしれないが、舗装されるのは有難い。周辺にお店なども増えるのではと期待している。Highbodiaの敷地は縦長なので、住居スペースには車が通る音も土埃も全く影響なく、静かな環境だ。
さて、Highbodiaがあるところはケップ州と言って、カンポット州に囲まれた小さな地方だが、カンポット州とケップ州で採れる胡椒のみ、カンボジア名産の胡椒の中でも世界が認めた高品質の証「カンポットペッパー」という称号が与えられている。シルクロードで東西つながった時代には、金一粒と同じ重さの胡椒が等価で交換されていたのだとか。今ではそれを観光胡椒農園(ペッパー・ファーム)として、世界中のツーリストの学びの場となっている。
#1 胡椒農園「グリーン・ドア」:福岡市ご出身のオーナーさんが、広大な敷地に胡椒園やドリアン園やカンボジア中の花を集めた素敵な花園を作っておられる。インスタ映えする植物園の他に、地鶏の鶏料理などのご馳走も楽しめる場所。緑いっぱいの山々に囲まれた広々とした空間とアイデア豊富な奥様との合作の数々が、憩いの場としてとても気持ちが良い所。
#2 観光農園「ソティ・ファーム」:日本にも長く滞在されてたドイツ人のオーナーさんは、観光農園の先駆けの人。ドイツ語、英語、日本語、フランス語そしてクメール語で園内見学ツアーが行われている。世界中から観光客が訪れており、トリップ・アドバイザーでも高評価。色々な言語の方々がコメントされている。ドイツ人のオーナーさんはいろんな人生豊富な方で日本語もペラペラ。いろんなお話を伺うことが出来る。
日常でよく見る挽かれた黒コショウの他にも、完熟してよりフルーティな香りの「赤胡椒」や、黒皮を剥いて色の主張も味のパンチも抑えたマイルドな「白胡椒」があり、「黒胡椒」は香りが高く、香りと薬味刺激で減塩にも繋がる。生の胡椒は「緑色」で、烏賊と一緒に炒める「烏賊の青胡椒炒め」は香ばしくて美味しい珍しい料理。生では輸入出来ないので、「緑胡椒」はカンボジアならでは。
#3 魚市場:ケップ州は海辺の町で、町のシンボルマークは大きな蟹のモニュメント。海岸に魚介類の市場があり、週末は特に遠くからも人が集まって来るので、魚介類以外に野菜や果物売りに屋台食堂も開かれ、お祭りの様な賑わい。蟹も牡蠣も海老も烏賊も蛸もサイズが大きく、もちろん新鮮。海の生簀で直接売買もあり、見て回るだけでも、屋台で安くて美味しい食事をするのも、楽しい所。
また、泳げる海が近くにあり、都会から週末などやバカンスに清涼を求めて賑わう海辺もあり、ホテルやレストランも沢山開業されている。かつてフランスの植民地だったり、カンボジア王族のリゾート地だったので、美味しいお店が残ってるとのこと。さらにラビット・アイランドと言うリゾート島への船が出ていて、わずか4キロ先に更に海と自然を満喫出来るところがある。
#4 ナチュラル・パラダイス:80ヘクタールの敷地の中に、3㎞のバンブー・トロッコに乗って、野原を駆け巡り、風を感じ、往復するアトラクションがある。(大人でも$1.25)木陰になると涼しく、日当たりが良いと暑いので、涼しい時間帯がお勧め。バッタンバン市にある古いレールを利用したバンブートロッコも面白かったが、ここは新しくセメントの枕木にレールを敷き、周辺にオーガニック野菜の畑や、馬や牛や豚やヤギや鴨や家鴨のミニ動物園を配置し、バイクエンジンを使って坂道も難なく上り下りする。単線だが、動物園の横のみ複線になっていて、往復するトロッコの衝突を避けられていた。
プノンペンに住むカトリック信者のフランス人がオーナーさんらしく、12月キリストの馬小屋での誕生のシーンの降誕セットを、大きな素敵な家屋の中に実物大の人形を使って聖域ジオラマが作ってあった。
外のベンチやモニュメントも、タイヤをリユースしたおしゃれなデザインで、流石オーナーさんがフランス人だからかな。
広い敷地には食事処も沢山配置されていて、レストラン棟より遠いので、電話で注文するとリフトで送られてくるのも、いと面白きかな。
#5 ボコー国立公園:ケップから車で1時間程のところに、自然が豊かで世界遺産の候補になっている標高1080mの山高原がある。カンボジアでは珍しく涼しい場所なので、かつては避暑地として別荘やホテルや教会、カジノが建てられていたけど、その後戦地となり、今は廃墟となって見事な大きな建築物の枯れた姿を見ることになる。山のすそ野から広がる平野やタイランド湾を望み、景色を楽しむことが出来るところでもあるのだが、、、
雨季と乾季の間と、乾季と雨季の間のそれぞれの1か月は風の強い時期で、今回訪れた時はそのシーズン中だった。すると頂上は、なんと自分をコントロールして歩けないほどの強風で、日本だと入山禁止になるだろうの台風レベルの風。崖から落ちた人もいるから気を付けて!と駐車場で親切な人が教えてくれた。こんな時に外出した経験はない!4人で両腕を組み、スクラムを組んで行進した。でないと人型の凧のように飛んで行ってしまいそうで!「We are the team!!!」と叫びながら風に立ち向かったのは心に残る経験だった。
途中に滝の名所もあり、落ち葉の養分が解けて赤い色の川や自然に垂直に亀裂が入る岩々の上を散策できる。アマゾン川の水の色も同じ理由で赤いよと主人の弁。更に途中でサルの群れが餌頂戴と待っているところもあり、餌をやりながらの行程は楽しかった。